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ここでは輸入住宅のスタイルとしてアメリカンテイストの住宅について取り上げていきたいと思います。文字通りアメリカに由来するスタイルですが、様々な種類があり、代表的なものをご紹介していきます。
アーリーアメリカンスタイル
名称の通り、古き良き時代のアメリカ風の住宅を指すスタイルになります。西部劇などに登場する住宅風に仕上げたデザインと言ってよいでしょう。ご存知の通り、アメリカは元々イギリスの植民地であり、英国風のスタイルをベースとしながら、広大なアメリカの風土にあったデザインを取り入れ、進化していったスタイルということになります。
北米の伝統工法であるツーバイフォー工法を用いており、デザイン的には大きな屋根がつき、ウッドデッキやポーチを備え、外壁はサイディング仕上げ。窓枠や柵には装飾が施され、リビングに暖炉があるといったことが主な特徴。内壁は石膏ボードで仕上げるのが一般的です。
ブリティッシュコロニアルスタイル
時代的にはアーリーアメリカンスタイルのさらに前、イギリスの清教徒(ピューリタン)がアメリカに入植した時代の住宅スタイルになります。これらの入植者たちは、まずバージニア州ジェームズタウン、次いでマサチューセッツ州プリマスに定住。それらの地域が「新しいイギリス=ニューイングランド」と呼ばれたことにちなみ、別名ニューイングランド様式とも呼ばれます。
アメリカの豊富な森林資源を活用できたことから、外壁に細い板を重ね張りしたスタイルであることが大きな特徴。また屋根を急勾配の切妻屋根としているのも、このスタイルならではの特色となっています。
ブルックリンスタイル(インダストリアルスタイル)
摩天楼が立ち並ぶニューヨークの中心エリア、マンハッタンからイーストリバーを挟んだ東側エリアが、ブルックリン地区になります。言わばニューヨークのベッドタウンといった趣のエリアです。元々あった19世紀の伝統的な建物を活かしながら、現代的にハイセンスなアレンジを施し仕上げているというのが大きな特色となっています。
外観的には赤茶色の煉瓦造り、あるいは伝統的なサイディングの外壁を用いているのが大きなポイント。その上で、個性やオリジナリティを重視ニューヨーカーならではの気質により、玄関ドアの両サイドに付けたコラムポスト(装飾の柱)やピラスター(壁面から浮き出した装飾用の柱)を配置するという遊び心を見せています。
カルフォルニアテイスト(西海岸風)
文字通りカリフォルニア州の西海岸にある、海辺の小屋のような佇まいをモチーフに仕上げたスタイルになっています。構造上の大きな特徴は、ウッドデッキや大型のポーチなどがそなわっており、そのまま外に出かけられるように仕上げられている点。
また海を連想させる配色として、白系、青系、木目のカラーをセンスよく組み合わせるといったこともカルフォルニアテイストならではのこだわりと言えるでしょう。近年ではヘリンボーン調という、模様や色合いのことなる木目の床材を、連続してV字状に組み合わせる板材を用いるスタイルもよく見られます。
プエブロ様式
アメリカは南西部の地域で見られる建築様式であり、とりわけニューメキシコ州で多く見られるという特徴があります。元々は、スペイン人がメキシコにやってきて植民地支配を始めた際、現地のプエブロインディアン住宅建築に利用していたアドベという日干しレンガを用いて、スペインの建築意匠感覚で作られたのがルーツとされています。1920年代から1930年代にかけて大きな人気を博したそうです。
現代では、そうしたスタイルを復刻するにあたり、一般的なレンガやコンクリートなどが用いられ、壁にはスタッコを用い、角に丸みを持たせ意図的に厚くて荒れたような質感を演出するという手法が採られています。
サンタフェ様式
アメリカニューメキシコ州北部に位置する街サンタフェ。1607年に創設された長い歴史を持つ都市であり、アメリカ合衆国に現存する都市としてはフロリダ州のセントオーガスティンに次いで古い都市です。歴史あるサンタフェの街には、いまだに先住民の暮らしが色濃く残ります。
サンタフェは17世紀初頭から始まる統治時代のスペイン文化やメキシコ文化との融合により形作られてきました。別名アメリカの宝石とも呼ばれており美しい街並みや歴史的価値のある建築物を数多く残しています。
サンタフェスタイルの住宅づくりは、素朴な素焼きのスパニッシュ瓦やテラコッタタイルを使用します。外壁や室内は漆喰や石灰石モルタルなどで柔らかく手塗りで表現し、職人の技が光ります。さらにリラックスし癒される空間を作るために、木や石や土などの自然素材を多く取り入れています。
ケープコッドスタイル
ケープコッドは、米国北東部のニューイングランド地方の中心部マサチューセッツ州にあります。手付かずのビーチに恵まれニューイングランドの海の生活様式が残る土地であり、本土とケープコッド運河で区切られた半島が、全米屈指のリゾートエリアでもあります。
ケープコッドの半島は、外側は大西洋、内側はケープコッド湾が広がっており、海岸線からは壮大な景色が望めます。夜になると崖の上にある灯台が海を照らし、一層美しい景色を演出します。ケープコッドの街にはガラス工芸の工房やブドウ園、海で獲れた地元の食材を提供するアットホームな宿などもあります。
アメリカのニューイングランドから始まったケープコッドスタイルの家の特徴ですが、長方形の上に三角形の切妻屋根、中央の煙突というシンプルな外観を呈しています。建物は平屋造りで外壁は木製の羽目板、内部は中央の廊下の左右に一部屋ずつの部屋が設けられています。また、切妻屋根には小屋裏がありました。
ケープコッドスタイルの家は、かつてヨーロッパからたどり着いた移民が建てたシンプルな住まいそのままです。現地で手に入る豊富な木材と職人技術を生かして作られた手作り感とミニマムなデザインが多くの人を魅了しています。
マンハッタンスタイル
アメリカ、ニューヨーク州の中心に位置する都市・マンハッタン。世界を代表する金融街であるウォール街をはじめ、5番街やタイムズスクエアなどの繁華街があり、世界中から多くの観光客が訪れています。
マンハッタンは人種のるつぼとも言われており、イタリア系やユダヤ系、中国系、プエルトリコ系などの移民も多く、地域ごとに異なった文化が形成されています。多数の超高層ビルが密集しているのもマンハッタンの特徴であり、摩天楼と称され美しい景観を作り出しています。
マンハッタンに住むニューヨーカー達の住まいとして、19世紀から続く鋳建築のビルや赤茶色の煉瓦造りの邸宅などが挙げられます。マンハッタンスタイルは、住む人の感性に合った居心地の良さへのこだわりが垣間見え、シンプルでありながらデザイン性あふれる特徴があります。
ひと口にアメリカンテイストと言っても、その種類は実に多種多様です。上記で取り上げているスタイルの他にも、例えば左右対称デザインが特徴のイギリス様式の伝統を守りつつ北米の仕様を取り入れた「ジョージアンスタイル」やスペインのアンダルシア地方の特徴を取りいれた「スパニッシュ・コロニアルスタイル」、ドイツ由来のハーフティンバー工法で建てられた「チューダースタイル」など、多岐に及んでいます。
これは、アメリカという国が移民の国であり、イギリスを筆頭にフランス、スペイン、ドイツといった様々な国の人が移り住んだことにより、それぞれ文化が持ち込まれたこと。そして広大な国土ゆえに、地域ごとに使える建材や気候への対応などが異なったため、多様性が拡大していったと考えられています。
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【選定条件】
2023年7月21日時点で、建築業許可(業種:建築一式工事)を取得している企業のうち、茨城県つくば市・つくばみらい市にある輸入住宅を取り扱っている3社を調査。
*UA値とは、家全体の熱の出入りのしやすさを表しています。数値が小さいほど熱の出入りが少なく、断熱性能が高いということになります。
*C値とは、建物の床面積1㎡あたりの隙間面積を表す値で、小さいほど気密性が高い家になります。