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ここでは輸入住宅のスタイルとしてアメリカンテイストの住宅について取り上げていきたいと思います。文字通りアメリカに由来するスタイルですが、様々な種類があり、代表的なものをご紹介していきます。
ひと口にアメリカンテイストと言っても、その種類は実に多種多様です。例えば、左右対称デザインが特徴のイギリス様式の伝統を守りつつ北米の仕様を取り入れた「ジョージアンスタイル」やスペインのアンダルシア地方の特徴を取りいれた「スパニッシュ・コロニアルスタイル」など、多岐に及んでいます。
これはアメリカという国が移民の国であり、イギリスを筆頭にフランス・スペイン・ドイツといった様々な国の人が移り住んだことにより、それぞれ文化が持ち込まれたこと。そして広大な国土ゆえに、地域ごとに使える建材や気候への対応などが異なったため、多様性が拡大していったと考えられています。
アーリーアメリカンスタイル
名称の通り、古き良き時代のアメリカ風の住宅を指すスタイルになります。西部劇などに登場する住宅風に仕上げたデザインと言ってよいでしょう。ご存知の通り、アメリカは元々イギリスの植民地であり、英国風のスタイルをベースとしながら、広大なアメリカの風土にあったデザインを取り入れ、進化していったスタイルということになります。
北米の伝統工法であるツーバイフォー工法を用いており、デザイン的には大きな屋根がつき、ウッドデッキやポーチを備え、外壁はサイディング仕上げ。窓枠や柵には装飾が施され、リビングに暖炉があるといったことが主な特徴。内壁は石膏ボードで仕上げるのが一般的です。
ブリティッシュコロニアルスタイル
時代的にはアーリーアメリカンスタイルのさらに前、イギリスの清教徒(ピューリタン)がアメリカに入植した時代の住宅スタイルになります。これらの入植者たちは、まずバージニア州ジェームズタウン、次いでマサチューセッツ州プリマスに定住。それらの地域が「新しいイギリス=ニューイングランド」と呼ばれたことにちなみ、別名ニューイングランド様式とも呼ばれます。
アメリカの豊富な森林資源を活用できたことから、外壁に細い板を重ね張りしたスタイルであることが大きな特徴。また屋根を急勾配の切妻屋根としているのも、このスタイルならではの特色となっています。
ブルックリンスタイル(インダストリアルスタイル)
摩天楼が立ち並ぶニューヨークの中心エリア、マンハッタンからイーストリバーを挟んだ東側エリアが、ブルックリン地区になります。言わばニューヨークのベッドタウンといった趣のエリアです。元々あった19世紀の伝統的な建物を活かしながら、現代的にハイセンスなアレンジを施し仕上げているというのが大きな特色となっています。
外観的には赤茶色の煉瓦造り、あるいは伝統的なサイディングの外壁を用いているのが大きなポイント。その上で、個性やオリジナリティを重視ニューヨーカーならではの気質により、玄関ドアの両サイドに付けたコラムポスト(装飾の柱)やピラスター(壁面から浮き出した装飾用の柱)を配置するという遊び心を見せています。
カルフォルニアテイスト(西海岸風)
文字通りカリフォルニア州の西海岸にある、海辺の小屋のような佇まいをモチーフに仕上げたスタイルになっています。構造上の大きな特徴は、ウッドデッキや大型のポーチなどがそなわっており、そのまま外に出かけられるように仕上げられている点。
また海を連想させる配色として、白系、青系、木目のカラーをセンスよく組み合わせるといったこともカルフォルニアテイストならではのこだわりと言えるでしょう。近年ではヘリンボーン調という、模様や色合いのことなる木目の床材を、連続してV字状に組み合わせる板材を用いるスタイルもよく見られます。
プエブロ様式
アメリカは南西部の地域で見られる建築様式であり、とりわけニューメキシコ州で多く見られるという特徴があります。元々は、スペイン人がメキシコにやってきて植民地支配を始めた際、現地のプエブロインディアン住宅建築に利用していたアドベという日干しレンガを用いて、スペインの建築意匠感覚で作られたのがルーツとされています。1920年代から1930年代にかけて大きな人気を博したそうです。
現代では、そうしたスタイルを復刻するにあたり、一般的なレンガやコンクリートなどが用いられ、壁にはスタッコを用い、角に丸みを持たせ意図的に厚くて荒れたような質感を演出するという手法が採られています。
サンタフェ様式
アメリカニューメキシコ州北部に位置する街サンタフェ。1607年に創設された長い歴史を持つ都市であり、アメリカ合衆国に現存する都市としてはフロリダ州のセントオーガスティンに次いで古い都市です。歴史あるサンタフェの街には、いまだに先住民の暮らしが色濃く残ります。
サンタフェは17世紀初頭から始まる統治時代のスペイン文化やメキシコ文化との融合により形作られてきました。別名アメリカの宝石とも呼ばれており美しい街並みや歴史的価値のある建築物を数多く残しています。
サンタフェスタイルの住宅づくりは、素朴な素焼きのスパニッシュ瓦やテラコッタタイルを使用します。外壁や室内は漆喰や石灰石モルタルなどで柔らかく手塗りで表現し、職人の技が光ります。さらにリラックスし癒される空間を作るために、木や石や土などの自然素材を多く取り入れています。
ケープコッドスタイル
ケープコッドは、米国北東部のニューイングランド地方の中心部マサチューセッツ州にあります。手付かずのビーチに恵まれニューイングランドの海の生活様式が残る土地であり、本土とケープコッド運河で区切られた半島が、全米屈指のリゾートエリアでもあります。
ケープコッドの半島は、外側は大西洋、内側はケープコッド湾が広がっており、海岸線からは壮大な景色が望めます。夜になると崖の上にある灯台が海を照らし、一層美しい景色を演出します。ケープコッドの街にはガラス工芸の工房やブドウ園、海で獲れた地元の食材を提供するアットホームな宿などもあります。
アメリカのニューイングランドから始まったケープコッドスタイルの家の特徴ですが、長方形の上に三角形の切妻屋根、中央の煙突というシンプルな外観を呈しています。建物は平屋造りで外壁は木製の羽目板、内部は中央の廊下の左右に一部屋ずつの部屋が設けられています。また、切妻屋根には小屋裏がありました。
ケープコッドスタイルの家は、かつてヨーロッパからたどり着いた移民が建てたシンプルな住まいそのままです。現地で手に入る豊富な木材と職人技術を生かして作られた手作り感とミニマムなデザインが多くの人を魅了しています。
マンハッタンスタイル
アメリカ、ニューヨーク州の中心に位置する都市・マンハッタン。世界を代表する金融街であるウォール街をはじめ、5番街やタイムズスクエアなどの繁華街があり、世界中から多くの観光客が訪れています。
マンハッタンは人種のるつぼとも言われており、イタリア系やユダヤ系、中国系、プエルトリコ系などの移民も多く、地域ごとに異なった文化が形成されています。多数の超高層ビルが密集しているのもマンハッタンの特徴であり、摩天楼と称され美しい景観を作り出しています。
マンハッタンに住むニューヨーカー達の住まいとして、19世紀から続く鋳建築のビルや赤茶色の煉瓦造りの邸宅などが挙げられます。マンハッタンスタイルは、住む人の感性に合った居心地の良さへのこだわりが垣間見え、シンプルでありながらデザイン性あふれる特徴があります。
アメリカンテイストの輸入住宅の施工事例を紹介していきます。どの住宅も、施主のこだわりや思いが込められた家です。家のテイストが少しずつ異なるので、どのテイストが自分のイメージに近いのかもチェックしながら見ると良いでしょう。
この家のモデルは、アメリカの物語に出てくるようなアーリーアメリカンスタイルです。自然素材を使用しているので木のぬくもりを感じられます。収納はたくさんあると何かと便利。こちらのお宅では収納を豊富に設置しました。コンサバトリーは、カフェスペースにできたり室内干しできるスペースにしたりと用途に合わせて変えられます。テラスへを繋がっているところもお気に入りとのこと。
インダストリアルスタイルにブルックリンテイストが加わり、クールでカッコ良い家に仕上がりました。外観をグレーでまとめたことでブルックリンテイストが増しています。玄関にブリックタイルを施せばアンティークな雰囲気にもできます。リビングの赤い扉が目をひくポイント。
外観は西洋風、室内のキッチンはカフェ風でありながら土間や無垢素材を使用して落ち着いた雰囲気に仕上げています。西洋風の中に日本らしさも加わり、和モダンな雰囲気がありながら全体的にバランス良くまとまっています。タイルの壁と黒板で仕上げたカフェのようなキッチンが自慢だとか。
アメリカニューメキシコ州のサンタフェの建築は、17世紀から統治されたスペイン文化とメキシコ文化とが融合されて形成したスタイルが色濃く残っている場所。こちらの住まいもスパニッシュ・コロニアルとアドビ様式のビルトインガレージの伝統的なデザインを見事に調和させた、モダンな印象の住宅となっています。
ポーチ部分は、アーチ状の柱と屋根を設けず空が見上げられる設計になっているので、まるで海外旅行をしているような気分を味わえます。白い漆喰の塗り壁が、青い空に映えて外国へ迷い込んだように感じる住宅です。
ラップサイディングの外壁に、正面に向かって設置したタイル張りのカバードポーチが開放に見えるアーリーアメリカンスタイルの家です。外壁のラップサイディングをベージュカラーにしているため、落ち着いた装いになっています。
リビングダイニングの内装デザインは、無垢材の床と白い壁のナチュラルな雰囲気に、レトロな照明器具やアイアンバラスターがアクセントになって素敵です。
アメリカでの生活経験がある施主の希望を取り入れた、北米スタイルの家。ラップサンディングとレンガ調サンディングの異なるテイストを外観に用いて、重厚感を演出しています。北米定番のインナーガレージを取り入れているのも特徴です。
広々した間取りの中でも、特に開放的なのが吹き抜けリビング。1階・2階の広い窓から差し込む太陽光が、家の中を明るくしてくれます。リビング周りの縁や幅木、モールディングに使われているホワイトがグレーの壁を引き立てる、美しいデザインとなっています。
アーリーアメリカンスタイルのひとつで、“カリフォルニアスタイル”や“サーファーズスタイル”と呼ばれるタイプの住宅。ラップサンディングの外壁と東西にかかる屋根、南側にはカバードポーチを設置しているのが特徴です。木材をふんだんに使った内観は、勾配を利用した吹き抜けが開放感があり、西海岸スタイルの魅力が感じられますね。
アメリカンスタイルらしいグリティッシュブルーのラップサイディングの外壁に、透かし彫りのようなや破風板や窓枠、デッキのホワイトカラーがアクセントになった美しい家です。切妻屋根を組み合わせたフォルムもユニーク!
内装デザインに自然素材を多用しているのも、アメリカンスタイルの特徴です。階段スペースにはアメリカンタイプの手すりとバラスターを採用。トイレにモリスの壁紙やオリジナリティある洗面台を取り入れるなど、細部まで施主のこだわりが反映されているオシャレな空間に。家具や照明器具もビンテージなデザインを採用して、落ち着いた空間に仕上げています。
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【選定条件】
2023年7月21日時点で、建築業許可(業種:建築一式工事)を取得している企業のうち、茨城県つくば市・つくばみらい市にある輸入住宅を取り扱っている3社を調査。
*UA値とは、家全体の熱の出入りのしやすさを表しています。数値が小さいほど熱の出入りが少なく、断熱性能が高いということになります。
*C値とは、建物の床面積1㎡あたりの隙間面積を表す値で、小さいほど気密性が高い家になります。